日本共産党を代表して市長及び教育長に意見要望を交えながら質問をいたします。

憲法・教育基本法について

憲法9条には日本が二度と戦争する国にならないという「不戦の誓い」とともに、戦争放棄と軍備禁止という恒久平和を極限にまですすめた道に世界にさきがけて踏み出すことで「戦争のない世界」への先駆になろうという決意が込められています。今世界では憲法9条を国際社会の平和秩序をつくっていくうえでの指針として評価する動きが広がっています。05年、世界118カ国のNGO諸団体の参加によるジーパック国際会議の「世界行動宣言」や同年、国際民主法律化協会大会などで、憲法9条を高く評価する決議の採択があいつでいます。戦後60年を経て国際政治の現実が憲法9条が掲げた理想に近づいています。憲法9条を変えることは許されません。         

また、今国会に準憲法といわれる「教育基本法改定」をおこなおうと自民・公明の間で調整が進められていると報道されています。国民主権にたった国民の教育権を否定し、それを国家による「教育権」におきかえ、主権者として一人ひとりの子どもの「人格の完成」を目的とする教育から、憲法改悪がめざす「海外で戦争する国」にふさわしい人間を育てあげる教育への変質を図ろうとするものであり許されません。

私は、世界に誇れる憲法と教育基本法はしっかりと守り、地方自治に生かすことが求められると考えますが市長及び教育長の憲法・教育基本法に対する見解を求めます。


市長の基本姿勢について

自民党政治の危機とゆきづまりは外交でも内政でも、もっとも深刻な段階をむかえています。特に、「ルールなき資本主義」のもとで貧困と格差は、新たに広がり、貯蓄なしの世帯は、この10年間に7,9%から23.8%、4世帯に1世帯と増え一方で貯蓄保有世帯の平均額は、1287万円から1544万円と増えています。貧困率は先進国のなかで、3位になるなど、数字の上からも明らかです。また、大分市でも、生活保護は6371人にのぼり、10年前の161%となっています。小中学校あわせて5079人、児童生徒の12.44%の子ども達が就学援助を受けています。

また、耐震強度偽造事件、ライブドア事件などにみられるように、ルールとモラルの破壊がすすみ、国民の安全と財産がないがしろにされています。さらに、住民福祉の機関という地方自治体の存在意義そのものを否定する@地方財政をめぐる三位一体の改革A新たな市町村合併と道州制の導入B地方行革=自治体リストラと民間開放を押し付けようとしています。

これらの根本には、小泉内閣がすすめてきた「構造改革」路線、規制緩和万能路線があります。この政治の転換こそ国民生活を救うために必要と考えるが、見解を求めます。

 また、小泉内閣が今国会に提出を予定した「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法案」いわゆる「行政改革推進法案」は、5年間で国家公務員を5%、地方公務員を4.6%以上削減。給与引き下げの制度見直し、規制改革と官業の民間開放の推進などを具体的に定め、その推進体制を決めています。

公務員攻撃で国民の分断をはかりそれをてこに強行しようとしていますが、本当のねらいは国と自治体の仕事を40兆円のビジネス産業と位置づける財界の要求に基づくものです。具体策の一つとして「市場化テスト法」案が国会に提出をされています。地方自治体関係では、戸籍謄本、納税証明書、などの各種証明書の請求受付と引渡し業務を官民競争入札または民間競争入札に付すというものですが国民、住民にとってもっとも重要な個人情報が民間業者の手にふれ、目に触れることになり問題です。自治体への「市場化テスト」はストッップをと声をあげるべきではないか、見解を求めます。

また、8年間で市職員の500人削減計画が、労働組合との合意をみたと大々的に報道されましたが、例えば、学校給食の巨大センター化・民間委託など、教育関連の人員削減は500人のうち、130人にも及び教育委員会職員の18%削減案であり、子どもたちの教育にかかわる問題を含んでおり、市民への説明責任・市民合意が必要と考えますが見解を求めます。

 さて、昨年6月議会にわが党議員団は市長など常勤特別職の退職手当削減を求める、条例改正案を議案提案し、残念ながら、否決をされました。市長をはじめとする常勤特別職の、報酬の一割削減を実施していることは、承知していますが、財政状況の厳しき折、退職手当の算定方法については、一般職員に準ずるかたちで見直し、削減をしてはどうでしょうか、見解を求めます。


国の予算と増税問題

小泉内閣は、5回の予算編成で13兆円にのぼる史上最悪の増税・国民負担増を庶民に推しつけた一方で、新規国債発行額は、170兆円にのぼる「史上最悪の借金王」になりました。これは、巨大開発の無駄遣いと大企業、大資産家への減税を温存拡大してきたからにほかなりません。小泉内閣は、06年度予算案を「改革の総仕上げ予算」と位置づけています。しかし、今求められる真の改革は、政治の責任でつくりだした、異常な格差を是正するための予算編成ですが、その格差をさらに拡大する、定率減税の廃止、「医療改革法案」による医療制度の大改悪や年金給付削減など社会保障の大幅抑制の予算案になっています。

今断行すべきは、5兆円に及ぶ軍事費、採算見込みのない高速道路や、巨大ダム事業、などむだな大型事業、道路特定財源や電源開発促進税などを一般財源化するなど歳出の浪費をなくすこと。また、史上空前の利益をあげている、大企業に、もうけ相応の負担を求める改革に取り組むことこそ政治の責任です。ところが、「歳出を抑制する努力ではどうしても限界がある」として、消費税増税に足を踏み出そうとしています。消費税は低所得者ほど負担が重い税です。消費税増税は更なる格差を広げ国民の生活をますます貧しくすることはまちがいありません。「消費税増税するな」の声を国に上げることを求めますが見解をうかがいます。


大分市の予算について

貧困と格差の広がりは、大分市の保護率の増加、就学援助の増加からも明らかであり、市の予算編成は、生活に苦しむ市民を応援するものにしなければなりません。

市長提案理由説明では「企業の業績の改善や設備投資などで市税収入の増加が見込まれる」とし、一般会計予算は前年度より1,9%増の1439億1千万円となっています。しかし、市民税約282億6300万円のうち、64%約182億円は個人市民税であり、その額は、定率減税の2分の1縮減・老齢者控除の廃止などにより、前年を約21億250万円も上回り、法人市民税の伸び約19億9500万円を超えています。たばこ税の増税など2億2038万7千円分とあわせると、国の増税政策などによる市民の税負担の増加は実に23億2293万9千円にのぼります。

これに、大分市が打ち出した、国民健康保険税、介護保険料、障害者、一人親世帯の医療費助成制度の所得制限などによる負担増を加えると実に総額48億3044万4千円もの影響額となっています。三位一体の改革による3億5千万円の減収や児童手当法の改正などによる地方自治体の負担増の押し付けを市民犠牲で乗り切ろうという歳入になっています。

一方でわが党が何度も要求してきた、大工業地区の固定資産税を隣接地並みの評価にすれば30億円の財源確保ができるのにそこには手をつけようとしない、姿勢は許されません。

また、歳出では、民生費が前年度より23億円余り、増えていますが、これは児童手当の支給が6年生まで延長されたことによる約9億円の伸びと生活保護扶助費10億円の伸びによるものが主なものです。歳出構成比中民生費は29・4%を占めていますが、それでも、政令市の福岡市をのぞく九州の県庁所在市7市と比べると、歳出構成比中民生費の占める割合は大分市は6番目に過ぎません。

また、商工費は、前年より0,1ポイント減らし、2.9%、44億5千万円。昨年から今年にかけて市内の老舗の中華料理店があいつで倒産するなど、中小零細業者は、深刻な事態にさらされています。ここに手を差し伸べる施策を打ち出すべき商工費が、大分駅南の区画整理事業費とほぼ同じ額とは、どういうことでしょうか。

さらに、合併により、農地や漁場が増えたのに、ただでさえ少ない農林水産業費も、前年度よりさらに0,1ポイント減らし、わずか1,6%22億8千万円です。これでは、市長が提案理由説明で高らかにうたいあげた、「市民一人一人が心豊かに、そして幸せと生きる喜びを実感できる大分市の実現」とは程遠い予算編成ではないでしょうか?新たな市民負担を押し付けない予算に組み替えるよう求めるが見解をうかがいます。

また、18年度末一般会計の地方債、借金の残高は約2076億7千万円であり一番多いのは土木債、826億円です。(過疎・災害は、23億)その多くがわが党が事業の中止・見直しを要求してきた大型公共事業でつくられたものであります。

現在進行中の事業で撤退を要求している大分川ダム建設は進捗率は約50%、つぎ込んだ予算は17年度末で108億6千万円ですが水道局・市一般会計分合わせて72億4千万円が起債・借金であります。当初予算は760億円ですが、その範囲内で事業は終了すると考えているのでしょうか、見解を求めます。わが党は、長年大分川ダム建設から撤退を求めてきましたがその方向は今も変わりありません。

また、大分駅周辺総合整備事業は、新しい大分の顔をつくると称して大掛かりにすすめられてきました。区画整理事業・連続立体交差事業・庄の原佐野線を始めとする幹線道路計画など総事業費にすでに1288億5千万円がつぎ込まれ、この借金だけでも343億円となっています。今年度予算でも土木費予算の約4分の1をこの事業で占めています。その一方、同じ土木費でも市民の要求が強い道路維持費は少ない予算をさらに10・8%も減らされ、交通安全対策費も同じく18%、道路新設改良費は51%の減とされています。わが党がかねてより提案をしている、100メートルのシンボルロードの見直し・庄の原佐野線や周辺の街路計画など最小限にとどめるなどの見直しなどを行うことを求めますが見解をうかがいます。

滝尾中部、浜町・芦崎・新川、三佐北の3つの住環境整備事業が進められています。わが党は住民本位の住環境整備にするよう強く要望し、この事業には賛成をしてきました。事業が進むに連れ例えば、滝尾では、交通安全対策などは早急に実施してほしい、また、浜町では家が道路にかかり立ち退かなくてはならないけれど、住み慣れた地域に住みたいし、新たに家を建てるだけのお金がない公営住宅をつくってほしいなどの声が届けられています。このような住民の声を反映した住民本位の街づくりを進めることを強く要望しておきます。

同和対策事業費は、5760万円の計上です。人権同和対策課・人権同和教育課あわせて、正規職員18名、臨時職員・嘱託など合わせて6名の人の配置をしていますが、これらを廃止すれば人件費だけでも1億8千万円を削減することができます。すでに役割を終えた同和対策協議会も、廃止するなど同和行政にかかる予算の削減を求めますが、見解をうかがいます。


46万市民の暮らし応援の施策充実について

国の負担増政策に打撃を受けている市民に新たな負担の押し付けを行うことは許されません。暮らしを応援する施策こそ必要です。そのためには一番影響の大きい国保税・介護保険料の値上げ中止を求めます。

国民健康保険税は、一人平均、15135円もの値上げが提案されています。
長引く不況で、国保加入者は低所得者が増え、年所得200万円以下の世帯は実に87・1%にものぼります。値上げされれば滞納世帯は増加することは目に見えています。現在でも、外来受診回数が減少し、入院1件あたりの医療費が高騰しています。つまり、医療の必要な人が受診できず、やむおえず医療を受けるのが遅くなることにより重症・多病となる傾向が、データーではっきりしています。

今大分市が取り組むべきは、健康長寿国長野県に学び、軽度の段階で医者にかかれるようにすること、検診制度の充実を行うことであり、値上げではないはずです。長野県松本市では国保会計の3%、長野市では4%〜4,5%の繰り入れを行い、国保財政の健全化に努力しています。大分市も一般会計からの繰り入れを常時行い、13万9389人の市民に12億2800万円もの負担増をもたら、すでに市民の負担能力を超えた国保税値上げを中止すべきです。また、介護保険料も、平均18.3%もの引き上げを予定しています。8万1935人もの高齢者に6億4880万円もの新たな負担の押し付けも許されません。値上げを中止すべきです。あわせて見解を求めます。


障害者自立支援法に伴う暮らし応援施策を

昨年10月31日、障害者の強い反対を押し切って自民・公明の賛成で可決成立した、障害者自立支援法は、4月1日から順次施行されます。政府は、「障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する」としていますが、障害者とその家族に大幅な負担増を強いる法律であり、障害者団体などからは、「自立支援どころか、自立を妨げ、生きる権利を奪う」「戦後最悪の法律」と怒りの声があがっています。

大分市のこれまでの福祉が後退する事のないよう、また、負担の増大により障害者の社会参加が後退することがないような取り組みを求める声が大きくなっています。そのためにはなによりも応益負担の軽減が求められます。国の軽減措置では不十分であり、大分市独自の減免制度を検討すべきではないか、見解を求めます。 


中小零細業者の仕事増やしの取り組みを

中小零細の建設関係の業者の営業は深刻です。大手企業の下請け単価の厳しい切り下げのもと、三次、四次下請けは赤字でも、仕事を引き受けざるを得ません。市として零細業者の仕事増やしの取り組みはどう考えているのでしょうか?学校や公営住宅の営繕、道路の軽微な補修などの数万円から数十万円単位の仕事を直接請けることができれば零細業者にとっては大きな仕事です。何度も提案をしてまいりましたが、全国の自治体でこの制度は大きく広がっており県下でも、中津市、臼杵市が、実施をしてる小規模工事登録制度を導入することを求めます。

また、公営住宅の建設は、たくさんの業種の業者が仕事ができる仕事増やしの最も効果的な公共事業です。今年度を見ますと、年間182戸しか募集がないのに、応募は2254人で、12,4倍の狭き門となっています。また、住宅の入居に子育て世代の優先枠をつくり、DV被害者は単身でも公営住宅に入れる・・など、新たな施策も打ち出されていますが、肝心の住宅に空きがなければ、絵に描いた餅ではないでしょうか。わが党が長年要求し続けていた敷戸団地の建て替えにやっと着手したことは評価しますが、圧倒的に少ない公営住宅をふやすよう求めます。


環境問題−ごみ問題について

「日本一きれいなまちづくり」でごみひろいを推奨する釘宮市政、ごみ拾いも悪くはありませんが、ごみ問題の根本解決に力をそそいでいただきたい。

ごみ問題取り組みの先進国では、基本は「ウエイスト・レス」。資源浪費をなくすということです。資源を利用して製品をつくる段階から利用が終わるまでのトータルで追及される必要があるという考え方が基本です。容器包装リサイクル法改正案が今国会に提出されようとしていますが、生産段階から廃棄・資源化まで資源の管理に直接事業者に責任をもたせる制度「拡大生産者責任」が抜け落ちています。この実現なしには、ワンウエイ容器・包装は増え続け、自治体はその処理に莫大な財政をつぎ込まなくてはなりません。「拡大生産者責任」を明確にするよう国に要求するよう求めますが見解をうかがいます。

また、ごみの有料化は、「お金を出せばごみはいくらでも出していい」という意識になり減量には結びつきません。有料化は行うべきではないことを強く求めておきます。

さて、大分市は来年4月から現在の8分別を12分別にする予定ですが、住民の意識改革なしには進むものではありません。直営でごみ収集を行っている名古屋市では、2300回の説明会を開き4分の1の世帯が参加し、大きな効果をあげています。ごみ問題は、市民と協同で取り組むことが基本です。ステーションに出されたごみを見れば、その地域の住民のごみに対する意識がわかるといいます。大分市も、引き続きごみ収集は直営を基本にし、だれよりも現場を知っている収集に携わっている職員と市民が協働し環境行政を前進させることこそ、真の「日本一きれいなまちづくり」といえるのではないでしょうか、見解を求めます。

ごみ問題に関連して質問をいたします。市内の管理型最終処理場に,フェロシルトを大量(15万トン)に処分したいと申し出があり、現在協議中と聞き及んでいます。

フェロシルトは大阪に本社をもつ化学メーカー石原産業が2001年から生産、販売していた土壌補強材、土壌埋戻材であり、酸化チタンの製造工程から排出される副産物(汚泥)を処理して生産されるもので、2003年に三重県のリサイクル製品に認定、70万トン余りが三重県内、岐阜県内、愛知県内、京都府内などに販売、埋立てなどに使用されました。

ところが、2005年にフェロシルトから環境基準を超える六価クロム、フッ素、放射性物質のウランやトリウムなどが含まれていることが判明し東海地方では大きな問題となりました。開発当初とは異なる製造工程で生産し、リサイクル製品認定時のサンプルとは違う製品で販売。産廃処理費用の軽減をはかったとみられています。現在、石原産業は、これを産業廃棄物として回収し処分先を探し、全国の管理型最終処分場を打診していると聞いていますが、このような有害廃棄物はたとえ管理型といえども、大分市内に持ち込ませるべきでないと考えるが見解を求めます。


環境問題−ばいじん問題について

新日鉄のばいじん公害は大分市の大きな環境問題です。一昨年市民団体「ばいじん公害をなくす会」が結成され、常時ばいじん問題に取り組んでおり、住民の監視機能が強まっています。会は、本年1月26日市長宛に、3702名分の署名をそえて、新日鉄を見渡せる場所への監視カメラの設置や全集じん機の定期検査など徹底した立ち入り調査や、降下ばいじんの目標数値の見直しなど6項目に及ぶ陳情をおこないました。この際、新日鉄のばいじん公害に対する市長の基本的なスタンスについておたずねをいたします。また、環境基本条例にばいじんなどにかかわる大企業の公害を規制する厳しい内容を盛り込むべきと考えるがあわせて見解を求めます。


安心・安全の取り組み

防災対策について様々な取り組みが期待されますが、市街化区域内の農地が果たしている役割について、再認識をすべきだと思います。農地は豪雨時は、ダムの役割をはたし、震災時は火災の延焼をくいとめたり、避難場所にもなりうる重要な役割を果たすことができます。ところが、市街化区域内の農地は、農業収入が見込めない中、固定資産税を他の収入から払う状況が当たり前になるなど、農地をそのまま維持していくことがむつかしくなっています。それでも、現在、市街化区域内の農地は約885万u残されており、その面積は平和市民公園68箇所分に及びます。農地を積極的に維持していくためにも、固定資産税の減免に匹敵するような防災対策上の補助制度の創設を検討してはどうかと考えますが見解を求めます。

子どもを取り巻く事件の多発から、地域の安全対策は、様々な形で行われています。登下校時、必ず家の前に出て、掃除や花の手入れをして、子ども達に声をかける方、仲間とのウオーキングの時間を下校時間に設定している方もいます。このようなさりげない見守りの自主的な活動の輪が広がることを願ってやみません。

行政がなすべきは、一斉に同じようなことを枠組みをもって提示することではなく、地域ごとのさりげない取り組みを柔軟な対応で支えることだと意見を述べておきます。

さて、通学路の交通安全対策も大きな課題です。毎年、各学校からあげられる交通安全対策の要望は、交通問題対策協議会で話し合われ、実施していると聞いています。積み残されるものがないように最善の取り組みをしていただくよう強く要望します。通学路に限らず交通安全対策として、規制ラインや信号機設置についての警察の取り組みの遅さに多くの関係者から不満の声が出ています。信号機設置予算の増額や警察が市民からの要望に対する説明責任を果たすよう要求していただきたいが見解を求めます。

この5年間で、子ども虐待死は656人で児童虐待防止法施行前より増えていることが、NPO法人の調査で明らかにされました。虐待防止の取り組みは、大分市は県下の他市と比較して進んでいるとはいえ、まだ、緒についたばかりです。児童家庭相談センターをつくり更なる取り組みを進めていくとしていますが、より多くの大人が子どもを守る立場で、子どもに関わることが求められます。学校・幼稚園・保育所・医療機関との連携強化が重要ですが、今後の取り組みについて質問をいたします。
 また、配偶者への暴力を子どもの前でふるうことは精神的虐待と定義づけられています。DV防止法が施行され、取り組みが始まっていますが、大分市の取り組みはまだ、緒についたばかりです。女性をパートナーからの暴力から守る取り組みが急がれます。大分市が始めた相談活動は、平成15年度123件、16年度120件、そして今年度は年度途中ですが、すでに131件にのぼっていると聞き及んでいます。今議会に、NPOとの協働の啓発・相談活動の取り組みが予算化されていることは歓迎いたしますが、DV被害者の相談や啓発、男女共同参画推進の取り組みを進める活動拠点が必要と考えますが、見解を伺います。


子どもたちの育つ環境の改善について

いま、未来を担う子ども達をめぐって様々な深刻な課題や問題が生じています。それらは現代社会のあり様と複雑にからみあっています。残念ながら私たちの国は本当の意味で子どもを大切にしているとは言えない状況であり、子どもの権利条約3条に掲げられた「子どもの最善の利益」を確保することが求められます。私はこれまで、子どもにかかわる施策の充実は市政の最重要課題であると考え議員活動の中心にすえてきましたが、今回の代表質問でも多くの時間をとりたいと思います。


1 少子化と子育て支援施策について

 少子化対策・子育て支援の根幹は、「安心して子どもを生み育てられる社会環境」「家族そろって夕食が囲める労働政策」ではないでしょうか。少子化対策をいうなら、なにより改善しなければならないのは、若者の雇用のありかたです。非正規雇用の夫婦と正規雇用の夫婦では、出生率に大きな差が生じていることが民間の調査機関の調べで明らかにされています。若者の2人に1人が非正規雇用であり労働条件の改善こそが、少子化対策の近道と言えるでしょう。働かせ方の問題は民間企業だけでなく、市役所も考えなければならないのではないでしょうか。嘱託・臨時・パート職員は、本年2月1日現在で1152人であり、市役所でも、非正規雇用が増えているのです。市職員は3861人ですから、実に市役所で働く人4人に1人は非正規雇用の職員となります。その人件費は年間、20億円を超えています。臨時職員は603人のうち30歳以下は半数を超えています。3人臨時職員を雇用するよりも1人の正規職員を雇用し青年の正規雇用を増やすよう求めますが見解をうかがいます。

 企業の次世代育成対策推進法による従業員301人以上の企業ごとの行動計画の提出状況は大分県は昨年5月の新聞報道では4割を切っているとされていましたが、その促進と内容の公開を行うよう県に要求するよう強く要望しておきます。

 また、様々な意識調査で、子育てにあたっての不安や悩みのトップは「子育てにともなう経済的負担が重い」です。

 ところが、釘宮市政は、「行政改革」の名のもとに第3子出産祝い金や出産祝い品廃止。厳しい収入の家庭の子どもたちに喜ばれていた高校の贈与奨学金の廃止など、子育てを応援するのではなく、それに逆行する施策を強行しています。

 子育て支援の施策として、要望の強い乳幼児医療費助成制度、通院を就学前まで拡大し、経済的負担の軽減の一助とすることをこれまで強く要求してまいりましたが、県は通院の助成制度の拡大を打ち出す一方で、1回500円の自己負担と、入院時の給食費を助成からはずすとしています。これでは、3歳未満の子どもや入院しなければならない子どもたちにとって負担増になり、制度の後退といえるのではないでしょうか、見解を求めます。わが党は、自己負担なしの助成制度拡大こそ、市民要求に応えるものと考えています。

  さて、大分市の一般会計に占める児童福祉の予算は、わずか8・5%126億3967万円にしかすぎません。そのなかで、公立・認可にかかわる予算は50%認可外0.4%家庭で育つこどもにかかわる予算は0.98%です。認可外といえども大分市の厳しい監査を毎年受けており、消費税の関係もあり、120項目に及ぶ監査事項をクリヤーしたところは、優良保育施設としての証明がだされます。今議会で私立幼稚園の預かり保育を利用する保護者へ月額4千円の補助や就援奨励金として、所得制限なしの年間2万円の補助などとくらべても、あまりに貧しい認可外の子ども達の施策の、再検討を強く要望いたします。

また、家庭で育つ子どもたちの地域の居場所子どもルームはわずか6ヶ所。今議会に坂ノ市の子どもルーム設置の予算が計上されたことは一定評価をしたいと思いますが、私はすべての小学校区につくるべきと考えますし、乳幼児対象だけでなく、小学生も行きたくなるような地域の居場所、児童館をつくる事も、安全、安心して遊べる場所がなくなっている現在、検討してはどうかと考えます。公立・認可・認可外・そして家庭で育つ子ども、すべてが大分市の未来を担う宝です。わずか、8・5%の児童福祉予算をもっと増やし、全体の子育て支援の底上げを図るよう2点についての見解をうかがいます。

さて、大分市の就学前の子育て環境の特徴・個性は、公立幼稚園が小学校併設でつくられてきたということです。この特徴、個性を生かす子育て環境づくりを柔軟に行うことこそもとめられるのではないでしょうか。新聞報道では、丹生校区や森岡校区で、公立幼稚園を残してほしいと署名活動が行われ、地域をあげて存続を求める運動が進められていますが、このような地域の強い連帯・子育て環境を守りたいという思いを市長はどのように受け止めているのでしょうか、見解を求めます。地域の連帯の中心に公立幼稚園があります。その場所を奪うのではなく残し地域づくり・子育てのセンターとして生かしていくことこそ重要です。大分市の子育ての社会資源である公立幼稚園の廃園は中止をし、地域の子育て支援の役割を担う場所として生かしていくことをわが党は強く要望します。


2 軽度発達障害の子ども達の育つ環境の改善について

 たえず動き回ったり、知的なつまずきはないのにどうしても漢字が覚えられない、とても不器用。対人関係がわからない。小中学校には、「軽度発達障害」の子供達が6%、68万人いると言われます。一クラスに一人から2人いることになります。子どもや父母の悩み苦しみは決して軽いものではありません。また、教職員も人的・物的条件整備が進まない中たいへんな思いを抱えクラス運営をしています。また、定員を大幅に超える保育所でも「軽度発達障害」の子ども達は増えていると聞き及んでいます。さらに、設置基準も定員も決められていない、児童育成クラブでも、指導員の悩みはつきません。そして、一番困っているのは、子ども達です。それぞれの現場で子どもたちに接している方々の意見を聞き現状の実態把握を行うとともに、医療機関などと、連携をとり、子どもの接し方の研修などを今まで以上に強めること。また、何よりもすべての現場に人的配置をおこない、軽度発達障害の子ども達の育つ環境を早急に改善する取り組みを求めますが、見解をうかがいます。


3 学校給食

 子どもをめぐる食と食育の問題はわが国でも重要な課題の一つとされています。内閣府の食育基本計画案では、学校給食で地元の農産物を使用する地産地消の比率を30%にアップするとしています。

今議会に、東部共同調理場建設事業費1億1656万円が計上されています。大分市の行政改革の一環として、中学校給食をセンター化し、野津原・佐賀関のセンターを廃止し、2箇所の給食センターで1箇所8千食の給食をつくるという方針を具体化したものです。野津原・佐賀関の子ども達は地元の農産物・魚を食べるのでなく、冷凍の魚・野菜を食べさせられることになるのではないでしょうか。また、これまで、自校方式で作る人の顔が見え、食べる子ども達の顔の見えるあたたかい給食が、トラックで運ばれてくる給食に変わる、9つの中学校の子ども達にとっては、どうなのでしょうか?食育・地産地消がさけばれるなか、巨大給食センターの方針には疑問をもちます。「効率化」は、教育や子育てには、なじみません。巨大給食センターの方針は、関係する地域の方々にきちんと説明をし、納得を得た上で、議会に提案をしたのでしょうか。学校給食は、子ども達のものです。行政の説明責任について、見解を求めます。

学校給食は、年間20億円を越えるお金が食材購入で使われています。地産地消を進めることは大分市農業にとっても重要な農業振興策となりますし、学校のある地元の業者から食材購入をすることは、零細業者の経営の大きな支えとなっています。地産地消そして、食育の観点さらには、地元零細業者を守る観点からもセンター方式の学校給食をやめて、自校方式に変更し、あたたかい学校給食をすべての子ども達に提供することを求めますが、見解をうかがいます。


4 30人学級の拡大について

県は、4月から、小学校2年生まで、30人以下学級を実施するとしています。この方針決定は、県下の多くの関係者の強い要望に基づくものと考え、評価したいと思います。が、子どもたちの教育環境を最善のものにするためには、引き続く、改善が必要であります。30人以下学級を全学年に拡大するよう県に求めるとともに、以前から度々提案をしてきましたが、大分市独自の取り組みを求めます。


5 学校選択制

学区をこえて通う小中学校を子どもや親が選べるといううたい文句で、学校選択制を導入しようとしています。「骨太の方針2005」や規制改革・民間開放推進会議の最終答申は、積極的な推進を図っています。しかし、学校選択制は@、地域生活圏の分断が進み、地域社会の活力の低下のおそれA義務教育の学校に評判の「いい学校」と「悪い学校」という序列を生み、子どもの世界に優越感や劣等感を持ち込む危険性、B教育の基礎的部分を担う義務教育は、すべての子どもに読み書き・計算などの基礎学力道徳や社会性などの生きる力を身に付けさせる基本的人権として制度化されたものであり、義務教育の根幹が揺らぐことになりかねない等、数々の問題をはらんでいます。遠くの校区内の学校に通わなければならないケースやいじめなどの理由で校区外の学校に通うケースについては弾力的・機能的に対応すればすむことであり、学校選択制の導入は行わないよう求めるが見解を伺います。


6 学校司書の配置について

 合併前の野津原・佐賀関の学校司書を大分市にあわせて廃止をしたことは、関係者に静かな怒りをよんでいます。私は、学校司書のいた時と、司書を廃止したあとの、佐賀関小学校を視察にいきましたが、生きていた場所が死んでしまった・・と感じました。子どもの心を耕す本。その出会いをつくりだす、学校司書の配置は大分市の教育に大きな変化を与えてくれることは間違いありません。学校司書の配置を強く要望します。


3月市議会代表質問(要旨)

2006年3月15日(水)
小手川めぐみ

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