TOPへ
福間 健治
5月23日記者会見
 
重度障害者の生活保護費の漏洩
2年6ケ月分(67万円)支給決定

(1)、これまでの経過

 1漏救の事実

 大分市在住のMさん(75歳)は、交通事故の後遺症で長期入院中の長男と2人世帯で生活保護を受けていました。
 平成14年入院中の長男が重度障害の1級に認定され、月額82、758円の障害年金をもらえることになったので福祉事務所に届け出ました。

 Mさんは、障害年金をもらうので生活保護費が減ることばわかるが、余りにも支給がすくなく入院している長男のこずかい等(日用品費)も支給されなくなったことに驚きました。
 Mさんは、福祉事務所に再三生活保護費の内訳を聞きにいきましたがはっきりした説明はありませんでした。

 今年2月に、Mさんは私たちの大分生活と健康を守る会に相談にきたので、「守る会」の役員といっしょに福祉事務所にいきましたがこのときもケースワーカーからは具体的な説明はありませんでした。
 そこで同行した役員が、最低生活費と収入の認定額、保護費の支給額を本人に説明するよう強く要求した結果、はじめて数字を書いて説明しました。また同行した役員が、Mさんの最低生活費が低いので、障害者加算をつけているのかと質問するとケースワーカーはわからず奥に入って相談した結果、障害者加算をつけていないことがわかりました。

 障害者加算は月額22、580円であり2年8ヶ月分(70万円以上)そ漏救していることがわかりました。    
 福祉事務所は漏救の事実は認めましたが、支給漏れの遡及は2ヶ月分であり、2年6ヶ月分は支給できないとの回答でした。


 2市議会での一般質問

 第1回定例大分市議会一般質問で福間健勝市議(日本共産党)は、Mさんの届け出によって障害年金は収入認定して生活保護費から差し引いているのに、障害者加算をつけていないのは生存権を保障した憲法25条と生活保護法第1条違反であること、本人には何の過失もないことを指摘し、漏救している2年6ヶ月分の保護費を全額Mさんに支給するよう要求しました。

 福祉保健部長は、Mさんの障害者加算の漏給に対し陳謝し、漏給した保護費の遡及については、「国と協議している」との答弁をしました。


 3大分県知事に不服審査請求

 障害者加算の漏給2年6ヶ月分の支給は国の回答待ちで2ヶ月以上も先送りされてきたので、4月28日、Mさんと大分生活と健康を守る会会長の福間健治ほか2名が代理人となり、大分県知事に不服審査請求をしました。


 4漏救した保護費の支給決定

 障害者加算の漏給分の全額遡及の審査請求により、行政訴訟も視野にいれた運動になってきました。こうした情勢のなか、さる5月16日、福祉保健部次長(生活福祉課長)が、Mさんに陳謝し、障害者加算の漏救分2年6ヶ月分(672、840円)を全額支給するとの回答がありました。



(2)問題点と教訓


 1説明者任の不足が漏救の原因
                         、
 Mさんは何回も生活保護費の内訳を聞きにいたのに、ケースワーカーからはまともな説明はありませんでした。
 「守る会」の役員が同行してはじめて数字を書いた説明があったのです。これではじめて障害者加算の漏救が明らかになりました。
 生活保護は国民の権利であり、したがって本人に最低生活費と収入認定額、保護費の支給額を数字で示し説明することば当然のことです。この当然の説明をしていれば、今回の生活保護費の漏給はさけられていたはずですし、仮に漏救があったとしても早期に是正されたはずです。


 2福祉事務所のケースワーカーは障害者加算を知らない

 今回のケースワーカーは、障害者加算が生活保護基準であることも知りませんでした。障害者加算を知らない職員をケースワーカーとして配置し、教育もしていなかった福祉事務所の責任は大きいと言わざるを得ません。


 3事態の背景

 こうした事態が起こるのは、財政難を理由に福祉抑制をすすめてきた、小泉自公政治が背景にあります。
 地方自治体が「住民の命と暮らしを守る」という本来の任務を怠り、この政府の方針に汲々として従ってきたことが今回の事態の本質的な原因です。生活保護費の抑制が指導の重点になっているのです。

 「生存権を保障する生活保護は財政事情に左右されることなく指導すべきである」という、人間裁判、朝日訴訟の判決を想起すべきでです。


 4生存権の保障は国と地方自治体の最高の責務であり国民の権利

 福祉事務所は、障害年金は収入認定して生活保護費から差し引いているのに、障害者加算は生活と健康を守る会から指摘されるまでつけていませんでした。もし生活と健康を守る会からの指摘がなければ、Mさんの障害者加算は永遠につけられなかったことでしょう。これは生存権を保障した憲法と生活保護法の明白な違反です。

 障害者加算をつけなかった福祉事務所は、Mさん家族の最低生活を保障しなかったということです。その落ち度は極めて重いと言わなくてはなりません。漏救した2年6ヶ月分を全額支給するのは当然のことです。
 また今回の一連の事態の中で、Mさんには何の過失もなかったことも明白です。

 以上を、この事案にたいする見解とします。

          2005年5月23日
          大分生括と健康を守る会
                 会長    福間健治

TOPへ