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第2回定例会(6月議会)を振り返って
キャッツテール
2016年7月31日
日本共産党大分市議団
◇議会の概要について

  第2回定例会は6月13日開会、27日閉会で開かれました。
 審査した議案は、予算議案1件、一般議案14件(条例9件、条例外5件)、報告議案8件(専決予算7件、条例関係1件)、追加議案1件(教育委員の選任)でした。
 また閉会日の本会議に、議員提案意見書案2件が可決されました。
 一般質問には22人(わが党3人、自民3人、社民4人、公明5人、新市民0人、民主4人、新政2人、無所属1人)がたちました。

◇予算議案について

 平成27年度大分市一般会計補正予算(第4号)が、専決処分されました。
 商工費の企業立地促進助成金、土木費の横尾公共団体区画整理事業、大分駅南公共団体区画整理事業、教育費の碩田学園の建設について、いずれも減額補正ですが、当初予算に反対した基本的な立場から賛成しませんでした。
 その他の予算については、賛成しました。

◇一般議案について

 大分市立義務教育学校設置条例の制定は、碩田学園の創設に伴い、施設一体型小中一貫校の設置をしようとするものです。
 義務教育学校は、「6・3制」という現行の義務教育区分を「4・3・2制」や「4・5制」に変え、小学校低学年からの英語教育、小学校段階での定期テスト導入、5年生からの教科担任制や制服の押しつけなどによる中学校文化の前倒し等を可能にするものです。
 また、教員の多忙化や競争の強化、学校間格差の拡大など、問題点の検証を行わないまま、小中一貫教育を拡大させることにつながります。
 さらに、小中一貫教育は、心理学的・教育学的な検証はされておらず、むしろ不登校の増加や子どもの荒れも指摘されています。
 小中一貫教育に反対する立場から、条例の制定について反対しました。

 大分市税条例等の一部改正について、そのうち法人市民税については、法人税割を12・1%から8・4%へ引き下げるものです。
 法人市民税の引き下げについては、平成26年度税制改正により、地方自治体間の税収格差の是正を図るという理由で、法人市民税の法人税割の一部を、新たに創設した「地方法人税」として国税化し、地方交付税で再分配するとしています。
 しかし、法人市民税の法人割の減税・減収分が確実に交付税として交付される保障はどこにもありません。

 大分市幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について、大分市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について、大分市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正については、いずれも保育施設における保育士の設置基準などの規制緩和をしようとするものです。
 現在、多くの保育施設が、保育士不足という問題を抱えているのは事実です。
 厚生労働省が行った調査で、保育士資格を取得しても保育所に就職しない理由は、「賃金が希望と合わない」という理由が最も多く、保育士の賃金を上げることが、深刻な保育士不足の解消のために、最も有効な対応策であることは明らかです。
 それにも関わらず、保育士不足を理由にして、子どもたちの命を守る最低基準を緩和することは、待機児童の問題に加え、保育の質まで落とす、二重の課題を生むことになります。
 これは、厚労省がこれまで掲げてきた「保育の質の確保」に、逆行するものです。
 待機児童の解消は急務でも、子どもを預ける親たちは保育の安全基準を下げることを望んではいません。
 「当分の間」というあいまいな条件で専門職の規制を緩和すれば、これから先、保育士の代替要員を拡大させることにつながります。

 大分市総合計画の変更についてです。このなかで、安倍政権が掲げる「地方創生」をベースに、「笑顔が輝き 夢と魅力あふれる 未来創造都市」をめざし、6つの「基本的な政策」を掲げ展開するとしています。
 第1部、市民福祉の向上については、人口減少の危機感をあおり、社会保障と地方財政の削減は避けられないとして、民間投資の活用と住民の自助・互助でまかなうよう求めています。
 社会保障で掲げる「地域包括ケア」構想は、地域医療機関の再編縮小を進めるなど安上がりの態勢にし、医療や介護から利用者を追い出すものです。
 国の責任を縮小する内容も含まれており、基本的な政策に反対する立場から賛成できません。
 第2部、教育・文化の振興については、学校教育において小中一貫教育を中心にすえています。
 これは、学校統廃合を加速させ、教育の機会均等を崩すものです。
 新たな詰め込み教育が危ぐされるとともに、転出入する児童生徒への教育保障にも問題が生じることが懸念されます。
 学校の大規模化や小学校高学年の主体的成長が損なわれるなど弊害は解決されておらず、賛成できません。
 また、学力調査の目標値を設定し、全国平均と比較することも問題です。
 また、人権同和教育は本来、あらゆる人権問題の解決を目指すため、虐待、DV、人種差別、パワハラ等も含めた「人権教育」全般を同等に認識すべきであり、同和問題に偏った啓発活動にすべきではありません。
 第4部、産業の振興についてです。
 昨今の地方衰退は、輸入自由化などによる農林水産業つぶし、大店法廃止による商店街つぶし、「都市再生」の名による都市再開発・「東京一極集中」政策などが原因で拡大してきました。
 加えて、小泉「改革」で地方交付税を削減し、「平成の大合併」へと追い立てたことも、住民サービスの後退や、地域経済への打撃となりました。
 総合戦略などでは、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」として創業支援や企業の地方移転、地方移住の推進、「若い世代の経済的安定」、子育て支援などを掲げていますが、これに反して、農業や地場産業をはじめ地域経済を壊すTPPの推進、低賃金の不安定雇用が拡大する労働者派遣法の改悪などが行なわれています。
 安定した雇用がなければ、地方移住も、安心した子育てもできません。
 第5部、都市基盤の形成については、「連携中枢都市圏」構想を含み、都市部に公共施設と住民サービスを集約する方向を打ち出しています。
 これは、都市部周辺の市町村にある文化施設や図書館、福祉施設などの公共施設や行政サービスの拠点を「集約化」するものです。
 統廃合した施設での民間委託も危惧されます。
 周辺地域の切り捨てと住民サービスの後退は、地域の疲弊をさらに進める原因となります。
 以上の理由で、大分市総合計画の変更について反対しました。

 平成28年3月31日をもって退職した、副市長、水道事業管理者及び常勤の監査委員の退職手当の額が提案されました。
 職員の退職手当は、給料月額に在職年数を掛けることで算出されていますが、常勤特別職は、給料月額に在職月数を掛けて算出するため、非常に高額の退職手当となっています。
 市民感情からして、特別高額な退職金を認めるわけにはいきません。算出方法の見直しをおこない、減額すべきです。

大分市国民健康保険税条例の一部改正については、国保税の最高限度額を、85万円を89万円に引き上げようとするものです。
 「国保税が高すぎる」という声は、多くの世帯から上がっており、実質賃金が上がらない今こそ、本来ならば国庫負担率を引き上げ、生活の負担軽減こそ行うべきです。
 更なる限度額の引き上げは、滞納世帯の増加や、保険証の取り上げの拡大も懸念され、更なる悪循環を生じさせる事にもなりかねません。
 また後期高齢者医療支援分については、大分県の場合でも多額の剰余金を充当し、保険料は据え置かれています。値上げする必要はありません。
 本来ならば、専決処分にせず、議会に提案し十分に審議すべきものです。

 その他の一般議案には、賛成しました。

◇最終日の追加議案について

 教育委員の選任についての人事案件が提案されましたが、反対しませんでした。

◇意見書、請願・陳情について

 党市議団は、議会運営委員会に、消費税率の引き上げ中止を求める意見書案を提出しました。賛同いただいた会派は社会民主クラブで、否決されました。

 「伊方原発の安全協定を結ぶことなどを求める陳情」が、賛成少数で不採択となりました。
 この陳情は、伊方原発の再稼働に対し、大分市と四国電力との間で安全協定を結ぶこと、実効性のある原発事故対策及び避難計画を作成することなどを求めた陳情です。
 福島第一原発の事故において、「メルトダウン」の公表を隠ぺいした事実が先日、明らかになりました。
 原発の安全神話はすでに完全に崩壊しており、ひとたび事故が起きればコントロールできなくなる危険な存在であることは明らかです。
 再稼働の準備が進む伊方原発については、地震などへの備えが不十分なことや佐田岬半島の付け根に位置するため、いったん事故が起きれば避難する体制がないことなどが指摘されています。
 4月以来の熊本や大分を中心とした連続的な地震で、その延長線上にあるとみられ、伊方原発のすぐ近くを走っている中央構造線断層帯や、日本列島の南を走る「南海トラフ」の活動が活発化する恐れも、新たに指摘されています。
 安全協定を結ぶべきという市民からの悲願の声を切り捨てる判断をすべきではありません。

◇議会質問について

 一般質問には、22人がたちました。各会派の発言議員数は前述のとおりです。
 わが党議員の質問項目は、以下のとおりです。詳細については、ホームページの各議員の質問をご覧いただくと幸いです。

 斉藤議員:一般質問
 ・保育行政
 ・臨海工業地域の災害での防災について
 ・環境配慮型設備投資利子補給金制度について
 ・不登校児童生徒への対応について
 ・学校図書予算について

 福間議員:一般質問
 ・憲法について
 ・熊本大分地震について
 ・就学援助について
 ・サイクリングロード整備ついて

 広次議員:一般質問
 ・大分市総合計画の変更について
 ・市営住宅について
 ・大分市債権管理条例について
 ・税の徴収のあり方について
 ・市施設の利用料について
 ・児童育成クラブについて
 ・義務教育学校設置条例について
 ・学校統廃合について

◇今後の党議員団の取り組みについて

 市政こんだん会 8月6日・土曜日10:00〜11:30 コンパルホール
※原水禁大会の最中ですが、8月5日の臨時議会の内容も報告します。
※議員の市政報告会もおこなっています。ご連絡いただけると幸いです。

今後の議会日程などについて
 9月1日〜9月28日 第3回定例会(9月定例市議会)

以上

      (文責・広次忠彦)


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